ある時から、病院などから処方される薬に対する分業化が行われるようになりました。従来までは病院が薬を処方しているケースが目立ちましたが、ある時を境に薬剤師が薬を処方するケースも増えてきた訳です。病院は薬の処方せんを渡すだけになり、その情報に基づいて薬剤師が薬を手渡す分業体制になりました。

例えば、次のような仕組みです。ある病院Aが、患者に対して薬の処方が必要だと思ったとします。それで現在では、処方は別のお店Bなどが行う事になるでしょう。

従来はそうではありませんでした。病院Aが投薬が必要だと判断した時には、基本的にはAが患者に薬を手渡すスタイルでした。しかし現在ではAではなく、むしろBが手渡すスタイルになった訳です。

ただ現在でも、たまに例外はあります。病院Aが処方に関する全ての手続きを行うので、BではなくAが直接渡すスタイルも、今なお稀に見られる状況です。しかし最近では様々な制度の問題があって、徐々にBが手渡すスタイルに以降しつつあります。

もちろんBで手渡すのは、病院の関係者ではありません。基本的には薬剤師という、まだ独立した方が手渡すことになります。このような役割分担が、いわゆる医薬分業と呼ばれるスタイルです。

なぜ医薬分業が採用され始めたかというと、主にトラブル防止が挙げられます。確かに病院Aとしては、それなりに理由があって患者に対して薬を処方するでしょう。しかし、たまに間違いもあり得るのです。

そもそも病院による判断は、全て正しいとは限りません。もしかすると病院が間違った判断をして、不適切な薬を処方してしまう可能性もあるからです。それで医薬事故などが生じてしまうと、大変な事になるでしょう。

このため日本の公的機関などでは、むしろ分業体制が望ましいと考えるようになりました。病院としては医療行為だけに専念して、処方などは薬剤師に任せる方が妥当だと判断した訳です。役割分担が採用された訳です。

したがって薬剤師には、薬に対する正確な知識が求められます。病院による万が一のミスも心配ですから、薬に関する知識に基づいて、処方が妥当かどうかを客観的に判断する必要があるからです。薬局で働く前に、薬剤師が薬に関する事柄を暗記する事は多いですが、トラブル防止の意味合いがある訳です。

いずれにせよ医薬分業というシステムは、それなりに意味があります。薬に関する事故を防止する役割があるのですから、薬剤師に対する責任は比較的重いと言えるでしょう。責任感は求められる職種と言えます。